2013年1月3日木曜日

大物達への思い



北の安曇野渓流会 理事 ● 春日規克

今までもらった喜びの釣果報告、「霧のような小雨が降る中、朝まずめから夕方まで500mも進めなかったよー出るは、出るはっ…はっはー」、「鮎がダメなのでテンカラ竿に持ち直したら、一投目からガツーンだぜ、尺上3本にアベレッジサイズが25だぜー」、「いるところにはいるねー、毛鉤が水面に落ちる前に二匹が飛び出しゴッツンコ、それも尺近いのがここぞのポイントからは絶対に出てくるから、あきるほど釣れてはさっさと納竿さ」
尺物は常に釣りたいと願う。尺上は渓流釣り師の勲章である。しかし、狙って釣れるほど甘くはない。最初は「今日は尺アマゴの顔を見るぞ」と川に下り立つ。そのうち、「大きければイワナでも良いか」とか、「まあ25cm以上を大物の手応えが欲しいなぁ」と軌道修正し、たまに釣行に出られた高揚感が消えてきた頃には「とりあえずはボウズになぬよう」と平常心(?)を取り戻し、しまいには「ウグイでも出てくれなくては眠くなるなぁ」と再々下降修正をして夕マズメを迎える。
なぜ毛鉤に出ないのか、魚がいないのか、食い気がないのか、警戒しているのか。魚がいないのは散ったのか釣り切られたのか、食い気がないのはマズメ時でないのか、サイズが違うのか、警戒しているのは先行者がいたのか、アプローチや流し方が悪いのか。爆釣を経験した川に来て、同じような水況で同じような空模様の下、同じ毛鉤を使い、同じように振っているのになぜ釣れぬ。この答えが出ないことが釣りの醍醐味と十分に知りつつも、誰か教えてくれぇー、そして私に尺物を釣らせてくださーい。