2012年12月19日水曜日

わが必需品


北の安曇野渓流会  理事 ● 春日規克


子どもの頃,まるい食卓の向こうで祖父がいつも食後に使っていた爪楊枝.子どもの目からそれがかっこよい大人の仕草に見え,ときどき真似をしていました.すると母親から,「子どものくせに!」と,たしなめられたものです. 「子どものくせに爪楊枝など必要ないでしょう」という意味だったのだが,当時は「子どものくせに生意気な真似をして」と言われたと思い,その真似を繰り返したものでした.
大学生の時には,父親が爪楊枝を使っている姿がなんとも年寄り臭く思えてならなかっとものでしたが,今やその爪楊枝が食事後の必需品になってしまいました.釣行時のコンビニ弁当に爪楊枝がついていないときは,胸ポケットからナイフを出し,使い終えた割り箸を削ってシーシー(?)すので,同行者から,「また何か彫っているのか」とからかわれたりするものです.
 彫魚と言う造語を使っている永井秀一氏の彫刻集には,骨身になった鱸(すずき)の木彫りが載っています.「これは面白い」と真似をしてあまごで作ってみると,骨を彫ることは難しく,縫い針を曲げ差し込むなどでごまかしてしまいました(「バチャは幻聴,デカッは幻視」で紹介).何となく納得できないなぁーと,あまった縫い針で犬歯と小臼歯の間の食べかすをシーシーしていて,思わず歯肉に突き刺してしまった.そこで,ひらめいたのが爪楊枝立てです.
ただ痛い思いだけでは終わらせない,わたしってなんて賢いんだー(*^^)v

2012年12月4日火曜日

冬の眠りにつく葛温泉



事務局長・水谷 博

二週間ぶりの葛温泉でした。すっかり冬景色です。あれほど流れていた水は収まり平水です。土曜日に降った雪がまだ残り、今週の天気予報にはすべて雪マークがありますので、これが根雪になりそうです。水温は3℃台、どこにも魚影はありません。
高瀬舘前に造成した人工産卵場は、すっかり砂に埋まりましたが、その後の七倉ダムからの放水でその砂が流され、土台にしたこぶし大の石が露出していました。上から見るといい感じでしたので、下に降りてみました。しかし、石の間には砂が詰まっており、産卵できるような状態ではありませんでした。いくつか石を動かしてもみましたが、卵は発見できませんでした。
かじか橋の下に造成した人工産卵場も同じような状態です。敷きつめた小さな石はすべて流され、土台が露出してその間にはびっしり砂が詰まっていました。これでは産卵は無理です。残念ながら、今年も産卵は確認できませんでした。この川のどこかで産卵してくれたのを祈るばかりです。
グレンパル葛の小川も見てみましたが、どこにも魚影を発見できず、産卵床らしきものも見当たりませんでした。これで人工産卵場の報告は終了です。久々の快晴の天気にもかかわらず、暗〜い気持ちで葛温泉を後にしました。来年こそはいい年を迎えましょう。






2012年11月20日火曜日

その後の人工産卵場 その2



事務局長●水谷 博

11月2日以降、これまでになかったことが続いています。それは七倉ダムの放流です。高瀬舘前の堰堤全面から大量の水が落ちています。いつもは二筋ですので梅雨時の放流と台風の大雨後以外に見たことはありません。堆砂していた砂を流し切るほどではありませんが、川幅一杯に激流が流れています。人工産卵場高瀬1号はもう影も形もありません。高瀬2号は辛うじて面影を留めているようですが、その確認すらできないほどの水流で、イワナが産卵できる状況ではありません。すでに紅葉は終わり、先週は除雪車が出動するほどの雪も降りました。水温も10度を切っています。今年も本流に造成した人工産卵場での産卵が確認できないまま冬を迎えそうです。残念!!

ところで、グレンパル葛の小川からは吉報があります。温宿かじかさんの話では、そこの落ち葉を清掃した際に小さなサカナをたくさん見たということでした。日帰り入浴者の方からもサカナがいますねという話はよく聞くそうです。5~8㎝ほどとのことですから、今年の春に人工産卵床で生まれたイワナに違いありません。今日の水温は6℃台、すでに落ち葉の下に入ってしまっているのか魚体を確認することはできませんでしたが、1匹だけ物陰に入る魚影を見ました。そして1ヶ所、明らかに掘り行動で掘られたと思われる窪みを確認しました。今年も産卵してくれたことを祈りつつ帰路に着きました。


2012年10月29日月曜日

その後の人工産卵場 その1

錦秋の北葛澤

事務局長●水谷 博

この間、週1~2回川北理事と二人で交代しながら観察をしていましたが、ペアリングなどの産卵行動は確認できませんでした。そして、29日に行って想定外のことが起きているのに驚かされました。高瀬舘前に造成した高瀬1号が完全に砂に埋まってしまっていたのです。この時期に砂が出たことはここ数年の間ではありませんでした。まったくの想定外です。掘り出してみようと1時間ほどジョレンで砂と格闘したのですが、30~40㎝の堆砂にはまったく刃が断ちませんでした。こぶし大の石の土台まで掘り出すことはかないませんでした。残念ながら今シーズンの産卵はここでは望めなくなってしまいました。
しかし、橋の下に造成した高瀬2号は大丈夫です。今後の水量を考えれば、ここまで砂は来ないでしょう。しかも、先週と同じように人工産卵場の上に魚影を確認しました。ペアリングではなく1匹だけですが、その上で捕食していました。橋の上流では、尺クラスのイワナとヤマメが盛んにライズしています。それぞれ単独行動でメスを追いかける行動は観察できませんでしたが、錦秋の葛温泉です。紅葉の終わる頃がイワナの産卵期ですから、今後に期待がもてる状況だと思いました。

砂に埋まった高瀬1号

高瀬2号上の魚影

2012年10月7日日曜日

人工産卵場を造成

造成地を選定してロープを渡す
事務局長●水谷 博

3連休の中日、午前9時から高瀬川葛温泉地区で人工産卵場の造成作業を行いました。北安中部漁協から猿田組合長、山口事業部長はじめ10名ものご参加をいただき、感激しました。本会は、石垣会長が所用で参加できなかったものの、こちらも会員10名が参加し、総勢20名での作業となりました。ご参加いただきました皆様に感謝申し上げます。
人工産卵場は本来支流に造るべきですが、本年が異常渇水で小白沢に水はなく、本流も水位が低いことから適地の選定に苦労しましたが、なるべく水深があり流れのあるところにしました。水深があるところにしたのは、さらに渇水となっても水流が保てることと伏流水を得やすくするためです。そのため、基礎となる握り拳大の石を投入するのにそれがたやすく得られる場所を選んだものの、長時間かかりました。また、礫の投入はロープを用いて効率的に行いましたが、最初の人工産卵場が巾3m×長さ5mとやや大きかったためにこれでも長時間を要しました。しかし、皆さんの能率的な動きと役割分担(最も大変な砂礫運びを漁協の方が主として担当していただきました。)で最初の人工産卵場の造成は1時間半、かじか橋の直下に造成した2号は、繁茂した藻の除去に時間を要したものの、1時間で完成させることができました。
葛温泉の紅葉は始まったばかりです。今日、白馬岳に初雪が降ったとの便りがありました。扇沢の駐車場が満車になっていましたので、室堂の紅葉はベストなのでしょう。このまま冷え込めば、来週あたりからは鮮やかな赤や黄色で山肌が彩られるようになると思います。紅葉見物とともイワナやヤマメのペアリングや掘り行動などの産卵行動が観察できると思います(イワナやヤマメに気に入られてそうなってくれるものと信じています。)。釣りはできなくても、渓谷の美しさと温泉をお楽しみください。

9時ジャストに朝礼?で作業開始
ロープを使って砂礫を搬入
これが大変なんです、お疲れ様
信毎記者が取材
高瀬1号完成
高瀬2号完成

2012年9月30日日曜日

葛温泉 盛況裡にシーズンに幕



事務局長 水谷 博

台風17号の被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げます。
予定していた人工産卵場づくりもこの余波を受け、中止しました。強行することもできましたが、参加者の帰りの安全と造成した人工産卵場がこの豪雨で流されてしまっては元も子もないので、中止を決断しました。
神奈川や岐阜など遠方から直接会場においでいただいた方には誠に申し訳ありませんでした。改めてお詫びいたします。トップページに記載の通り、人工産卵場づくりは10月7日に行いますので、ご参加をお願い申し上げます。

ところで、最終日の葛温泉は盛況でした。午前中にかじか橋から上への入渓者は5組12人、一組はルアーマンでしたが他はすべてエサ釣りでした。釣果はあまり芳しくなかったようですが、ボウズはなかったようです。異口同音に水位の低さを嘆いていました。「大町の生き字引」と言われる笠間釣具店のご主人も来ていただきましたが、水位の低さと藻の繁茂は初めて見たと言っておられました。とにかく、この夏からは異常続きだったように思います。
そんな中で唯一の救いはダム差しでした。28日に橋の下で泣き尺のヤマメを掛けたという連絡が釣友からありました。厳しい環境の中でも産卵のために上ってくるサカナがいるということは、うれしい限りです。また、別の釣友からは高瀬舘の前の堰堤で尺物を含めて10本くらいイワナを掛けたとの知らせも29日に受けました。

最終日の私はというと、お昼前から入渓できるようになったのですが、どのポイントの入渓口も車だらけで入るところがありません。鹿島の尺物3連発のところだけは幸い車がなかったものの、時合いから出そうな気はしませんでした。ダメ元で入りましたがやはり、水位は低く新しい踏み後もたくさんあり、川に入っても魚影はまったくありません。黒沢橋の上では釣れたというmailも来ていたのですが、さっぱりです。
おまえ、こんなところで何してるんだというような顔をしたカモシカに出会い、雨もポツポツと落ちてきたのでやむなく納竿です。いろいろ楽しませてもらったので、最終日ぐらいはボウズでもしょうがないかとあきらめて来シーズンに期待します。

鹿島川のカモシカ


2012年9月11日火曜日

その後の大町、雨がほしい!!

篭川の天然物。アベレージ25cm

事務局長 水谷博

「2012信濃大町テンカラミーティング&講習会」には多数のご参加をいただきまして誠にありがとうございました。テンカラのおもしろさをわずかながらでも体感し、釣友との旧交を温めてていただけたものと存じます。

さて、その後の大町です。大町では連日のように夕立があり、大雨警報や洪水警報が発令されますが、各渓流は異常渇水です。松川村の高瀬川本流・大町温泉郷付近の鹿島川、さらには篭川の下流さえ瀬切れが起きています。このため、水位の低下と水温の上昇が起こって芳しい状況ではありません。葛温泉では藻がまた異常発生しています。

その葛温泉では、私の記録では最も早いもので9月5日にダム差しの尺ヤマメを掛けていますが、その気配は全くありません。来るのは、当歳の10㎝に満たないヤマメばかりです。七倉ダムからの放流がない限り、今年のダム差しは期待できないかもしれません。
また、全面白泡だった篭川は教科書に載せたいようなポイントの連続になっています。でも、そんなポイントからはサカナは出ません。何でもないところへ丹念に振り込んでください。今回は、そんなところから1時間で2匹の25㎝クラスの天然物が来てくれました。

いずれの渓も熊には要注意です。くれぐれも熊鈴をお忘れなく。

ポイントがつづく篭川。しかし、なかなか...
藻が発生した葛温泉





公式イベントは今年も盛況でした



2012年8月29日水曜日

坊主なれ


北の安曇野渓流会会長 石垣尚男


最近の釣行はずっと坊主続きである。魚釣りで釣果がないのをなぜ坊主というのかいろいろ説があるようだが、オデコともいうので坊主は毛がないことから釣果がないことに結びつけたのだろうか。それはさておきずっと坊主である。そこそこ申し訳程度に釣れるのでツルツルではない五分刈り程度ではあるが。
原因はわかっている。夏のテンカラは夜明け朝イチと真っ暗になった夕マズメなのだが、朝はゆっくり家を出て暗くなる前に上がって、夕マズメには温泉に入り、その後に晩飯を食べるという釣れっこないパターンを繰り返しているからだ。しかも今年の夏は例年になく暑く、さらに雨が降らないので渇水が追い打ちをかけている。
アジャリ君のブログは毎週、尺もの、泣き尺のオンパレードである。しかも夏に釣るのは難しいとされるヤマメの尺物も写真に収まっている。今、日本で最も釣っているテンカラマンかもしれない。この季節どこで釣れるか正確な情報がある上に、明日の朝イチに入渓する場所に車中泊し、そして真っ暗になるまで釣って、懐中電灯を頼りに戻るというかって自分もしていたパターンである。それができなくなったことが歳をとったということなのだ。
2012信濃大町テンカラミーティングに先立ち、高瀬川の高瀬ダム上流で竿を振った。北アルプスの槍ヶ岳を遠望できるすばらしいロケーションである。ここは北安中部漁協の組合員だけが許可を受けて入ることができる。昨年は増水で竿が出せず坊主に終わったので、今年こそと腕まくりしたのだが、水谷事務長もかってみたことのない大渇水で水温が高く、しかも先行者があるというテンカラ三重苦が重なりイワナもまったく遊んでくれず、期待した私鉄沿線の野口五郎岳からの合流点も音沙汰なく、抜けるような青空の下、渓で飲むコーヒーはうまいなと改めて思っただけである。
また坊主か。これで高原、開田、高瀬と三連チャンで慣れっこである。しかたない。夕マズメはダメだろうし、そもそも夕マズメにはレストランの予約をしているので、まず温泉で汗を流そう。大町温泉郷で湯船につかり、坊主の無念さを汗とともに流してさぁ帰ろう。
駐車場に一台の車が入ってきた。うん? 誰だ? ナヌ、坊主Aではないか。ツルツルにそり上げたスキンヘッドのAさんを私はひそかに坊主Aと呼んでいる。坊主に合うとは坊主もここに極まれり。ここで会うとは明日からのイベントを予兆しているようだ。
どこかで竿を出してきたらしい。どうせ坊主に違いない。ところが、である。開口一番「釣れたんです!」 携帯にはなんと40cmのイワナが。ネットからはみ出し、それでも足らずに反りかえっている40cm。Aさんの頭に後光が見えたのは気のせいか、頭のせいか。もう坊主Aなどを呼ぶことはしません。思わず手を合わせ拝みつつ、ところでどこで釣れた?と訊くことは忘れない。
坊主Aさんの所属するクラブは明日から近くの場所に集結とのこと。後日談では40cmのイワナの話はたちまち広まり、翌日朝イチにメンバーはソレっと走ったもの、見事に全員が坊主だったとかで、坊主Aの威光をまぶしいほど感じたのであった(とか)。



2012年8月21日火曜日

夏休みは鹿島川大谷原で山小屋生活



会員 原田和正 

山小屋滞在期間中、6回釣りに出かけました。何とか毎回ボウズだけは免れまし
た。一応、フライの準備もしていましたが、今回は全てテンカラ釣り。

・8/8:前夜、同宿予定の3名と大町で合流して入小屋。同宿者からの「塩焼き」
プレッシャーを受け、夕刻、大谷原の堰堤上から大川沢方面へ入るものの全く反
応無し。夕マズメは下流に戻って堰堤下に入るが、先行者有り。でもルアーマン
の先行者は何故かすぐに上がってきた。挨拶をすると、「たった今、すぐ下の大
岩 100m 位下流で、熊が川を横断していました。気を付けて下さい。」とのこと。
「塩焼き」用に1尾(22cm)をゲットすると、逃げるように小屋へ戻った。(山
小屋のお客さん用や、沢登り時のタンパク源?として年間数尾くらいはキープし
ますが、それ以外は基本的にリリースしています。) 

・8/9:同宿者は帰京。午後、大谷原の堰堤上から大冷沢方面へ。大冷沢橋の上
までで、22~24cm 4尾。全て成魚放流もの? 

・8/10:天気予報によると天候が良さそうだったので、前夜は「4時前に目が覚
めたら赤岩尾根から鹿島槍ヶ岳往復。それ以降だったら釣り。」と決めて就寝。
目が覚めたのは6時前だったので、釣りと決定。7時半頃に黒沢橋から入溪して、
大谷原下の堰堤まで。放流直後だったようで、橋の前後はほとんど入れ食い状態。
30分ほどで15尾。あまり釣れ過ぎても面白くないので、上流へ向かう。それでも
堰堤下までの3時間程度で計32尾という、鹿島川での最高記録達成。ほとんどは 
18~24cm の放流ものだったが、そのうち3尾はいかにも在来系。とくに橋と堰堤
の中間くらいで出た最大の 27.5 cm は鰭ピンの別嬪。 

・8/12:釣り堀状態も面白くないので、尺物に期待して水谷事務局長に教えて頂
いた鹿島部落下から入溪。やはり溪相は良いとは言えませんね。先行者がいたせ
いか、分かりやすいポイントでは全く反応無し。昼前の入溪だったので、「やは
り夕刻でないと難しいのかな?」と思いながらも、先行者が見過ごしそうなポイ
ントを丁寧に探っていたところ、小さな落ち込みで 26 cm がヒット。1尾だけだ
が、今回、最もきれいな魚体だった。 

・8/13:時折陽が差すものの、 雨が降ったり止んだり。この後は天候が荒れる
ことが予想されていたため、小雨の中入溪。大谷原の堰堤上から大冷橋上まで。
20~23 cm 、3尾。 

・8/16:今回最後の釣りなので、良い思い?をした黒沢橋へ。前回とほぼ同じ時
間帯と区間なのに、先行者もあったためか 20~23 cm 3尾のみ。テンカラを始め
て1年の初心者としては、こんなものでしょうね。

2012年8月18日土曜日

パエリアなら大町の木崎湖畔



事務局長 水谷 博

木崎湖は、アニメ「おねがい、ティーチャー」の聖地であるだけではありません。パエリアのおいしいお店、「Bistro Meeja(みぃーや)」が国道沿いにあります。ピザやパスタもおいしいのですが、ここへ行くならおなかをすかして「パエリアディナーコース」(二人前4,500円)を予約(0261-23-1187 )してください。
コースは「生ハムとゆで玉子のサラダ」から始まります。まず、その量に圧倒されるのですが、タマネギとニンニクを使用したオリジナルドレッシングソースVinaigretteをかければ瞬く間にペロリといただけること請け合いです。
次に「自家製ソーセージ」が出されます。臭みの全くないジューシーで歯触りのよい食感がたまりません。付け合わせのポテトと酸味のきいたゆでキャベツも残さずいただきます。
そして、メインの「パエリア」の登場となります。もうこれは写真を見ていただければ説明の必要がありません。盛りだくさんの具材とそのエキスを吸ったご飯、特にオコゲが絶妙のハーモニーで胃袋に収まっていきます。
パンもいただいておなかは一杯なのですが、この後日替わりのデザートが出できます。でも、これは別腹。今日はクリームブリュレとブルーベリーのタルトをおいしくいただきました。
満腹になってもまた食べたくなる不思議なパエリアです。


















2012年8月15日水曜日

大町で和食なら


事務局長 水谷 博


大町に通い出して20数年、かなりの数のレストラン・食堂で食事をしてきました。黒四ロイヤルホテルの中にはあの「吉兆」もあります。でも、本格的な和食を気軽にいただけたのはここだけです。お店は大町駅から徒歩2分、商店街に入ってすぐの「日本料理 いし井」です。
お店に入ってすぐ、のれんは月、カウンターにはススキの生け花、いつもさりげなく季節感を感じさせるご主人の心遣いに気づかされます。そのご主人は「四條式包丁式の正師範」の石井柏石氏です。その料理は、気位の高い気取った包丁さばきではなく、旬の食材の持ち味を生かして一手間も二手間もかけたものばかりです。いつも「みに懐石」(昼:3,150円、夜:3,675円)をいただきます。
写真左上のウナギと山芋の蒸し物と写真中央右のごま和えが絶品でした。写真右下の汁物は、今日は夏らしくジュンサイの澄ましでした。いつもは味噌汁です。この味噌汁は一度味わったらやみつきになること請け合い。いずれの品も長い板前修行に裏打ちされたものばかりです。
大町に店を開いて四半世紀、現在のお店になって十数年。いつもおいしい和食をいただいていたのですが、それなのに、ここ数年の不況で閉店を考えておられるようです。まだまだお元気ですので、末永く楽しませていただけるよう祈るばかりです。お昼は千数百円の予算からいただけますので、大町においでの際は是非お立ち寄りください。


2012年7月22日日曜日

続 鹿島川、尺物3発


3本目の尺イワナ

事務局長・水谷 博

リベンジの入渓はアフター5、梅雨明け宣言は出たものの、今にも泣き出しそうな雲行きでした。この間の雨で水量はかなり増していましたが、濁りはありません。早速、尺イワナポイントに振り込みます。ガンガン瀬の向こうは広い開きになっています。そこがねらい目だとは思いましたが、その手前にわずかな淀みがあったので、まずは瀬を分けて手前からです。2投目でした。いきなりガクッと手元にアタリが来ました。満月になった竿を慎重に立てて浅瀬にランディングさせることができました。まるまると太った尺イワナです。体色から放流されて二冬を越したものと推察されました。
ねらい目の開きではまったく反応がなくブラウンポイントへ急ぎます。しかし、そこは流れが変わってしまっており、トロ瀬はチャラ瀬になっていました。もちろん、何の音沙汰もなくここは諦めるしかありません。さらに釣り上がると、ガンガン瀬の向こう岸に大岩二つがあり、その間と前後がポイントになっています。まずは下から。数投振り込んでもアタリがなく、瀬に毛鉤が飲み込まれようとしたのでピックアップした時でした。バシッとアタリがありましたが、掛かってくれませんでした。気を取り直して大岩の間に振り込むと、今度は明らかにブラウンと思われる茶色い魚体が水面下で反転しました。これも合わせが早過ぎて空振りです。う~むっ。天を仰いで一呼吸、しかしもう何度振り込んでも出てくれません。最後の望みは大岩の上にある淀みです。慎重に振り込むと、今度は一発でガクッと毛鉤にのってくれました。バレないようガンガン瀬の上流へ引き上げます。大きくしなった竿から伝わる振動を楽しみながら瀬を横切って浅瀬にランディングさせられました。これも野生化した尺イワナで、1本目よりは一回り大きなものでした。
このポイントの上に、二つの流れが交わっている大きな開きがありました。水深や底石からここら辺りではベストポイントと思われました。しかし、ここではまったく反応がなく、その上流は全面白泡の流れが続いているようでしたので、ニジマスポイントへ向かうことにしました。そこは先日よりは水量もあり、流れが複雑に入り組んでいました。下流から草をよけながら振り込んでいきますが、アタリはありません。今日はお休みかと思いつつ、ポイントの最上流へ振り込んだ時でした。バッシャっと大きな水泡を立てて出てくれました。合わせるとガクッと手元に重みが伝わります。でも、40オーバーのニジマスにしては軽過ぎます。細い流れですからすぐにランディングさせられましたが、背中の色と体高からニジマスと思ったのは見間違えで、それは丸々と太ったイワナでした。しかも、測線の下にある橙色の斑点が美しい鹿島の天然物です。サイズは33㎝ありました。数はでません出ませんでしたが、1時間半で尺物3本、久々に満足できた釣行となりました。

余談:流れを渡りきって、岸にある直径1mほどの岩に飛び乗った時でした。グラッ、何とこんな大きな浮き石もあるんですね。体勢を立て直すこともできず、河原にダイビングさせられました。空中で竿を放し、両手を着いて着地できたのですが、ちょっと鼻が高かったようです。起き上がろうとするとポタポタと鼻血がたれてきます。痛みはなかったのですが、鼻を河原の石に打ち付けたようです。流水で鼻を冷やして何とか止血することができました。その後、3本目の尺イワナを掛けたのですから・・・。
情報:梅雨が明け、大町ダム下流の高瀬川本流以外は、乳川・篭川・鹿島川・高瀬川葛温泉など水況は非常によい状況です。朝夕の間詰め時はどこも十分楽しめるようになりました。ただ、これからはアブと熊、それに浮き石には十分ご注意ください。

1本目
2本目

2012年6月30日土曜日

鹿島川、尺物3発


尺イワナのポイント

事務局長・水谷 博

長野市でも今年初の真夏日を記録したこの日、4時を回ると鹿島川の川面を吹く風は冷たく長袖のシャツでちょうどいいくらいです。入渓は鹿島部落の下からです。このあたりの鹿島川はほとんどチャラ瀬ばかりであまり好きではありませんが、会員さんから鹿島でヤマメが釣れたのだがとの連絡を受け、それを確かめ来たわけでもあります。河原が広くて木に毛鉤を掛ける心配がないので、ロングラインも気持ちよく振ることがでる渓相です。
最初のポイントは、流れ込みから大きな開きになっているところです。開きの水深は10~15㎝ほどしかないので、振り込むところは流れ込みの脇しかありません。数回試みましたが何の反応もありません。しかし、サカナがいるとすればこの辺ではここしかないので、しつこく繰り返してみることにしました。優に10回以上振り込んだと思います。毛鉤が流れに吸い込まれてかなり沈んだ時でした。コツンと小さなアタリが手元に届いたので、合わせようとした時にガバッと竿を持って行かれそうになりました。満月にしなる竿を下流へ数歩走ってなんとか立て直し、慎重に浅瀬にランディングを試みました。もう手の届きそうなところまで引き寄せ白い魚体のイワナを確認した時でした。イワナはクルッと大きな魚体を素早く1回ひねってエラを洗いました。その瞬間に毛鉤は空を舞ってしまい痛恨のバラシです。
諦めきれない心を奮い立たせて次のポイントに向かいます。同じような第2、第3のポイントではまったく反応がありませんでした。第4のポイントはこのあたりでは珍しいトロ瀬です。しかも水深があって底石ゴロゴロのここしかないというところでした。でも、出ません。ここでもしつこく繰り返しました。もう諦めようとした時にピシャッと底石の脇からアタリが来ました。これは合わせが早過ぎて空振りです。天空を仰ぎ一度深呼吸をしてから慎重に同じところへ振り込みました。今度はバシッと来ました。ガクッと合わせるとものすごい引きで下流へ10メーターほども走らされました。幸いそこは水深のないチャラ瀬でしたので、何とかランディングさせることができました。でも、サカナを見てがっくり、赤い点々の鮮やかなブラウンでした。ちょうど尺ぐらいのまるまると太ったヤツです。タモに入れたのですが、そのままの写真じゃおもしろくないとポーズを決めようとするのですが、うまくいきません。何とか落ち着いてくれたのでカメラを取り出し構えると、SDカードが入っていないというメッセージです。それを財布から取り出そうとゴソゴソしていた時にラインが緩んで逃げられてしまいました。そんなわけで今回もサカナの写真がありません。
その後、いくつかのポイントを攻めましたが、いずれもまったく反応なし。魚影もライズもありません。仕方なく、本流を諦めて細い分流のポイントを探しながら帰ることにしました。水量も水深もない分流ですが、所々にはサカナがいそうな深みがあります。その一つに振り込んだ時でした。ガバッと水面に顔を出したのは、何とどでかいニジマスです。毛鉤にはかかりましたが、08のハリスでは如何ともできませんでした。その体高から40㎝オーバーだったと思います。プチンッと切れて一巻の終わりでした。ちょうど6時、2時間やってアタリは尺物の3つだけ、魚影は薄いものの大物狙いには楽しめた鹿島川でした。
そのころ、葛温泉でやっていた釣友からは、チビだけどヤマメが入れ食いですよとの連絡を受けました。また、遠く静岡の水窪川へ入った会員の名人からは、2時間でアマゴ40本、うち10本が尺物でその他も27・28㎝ばかりだったという爆釣の知らせが届きました。盛期です。鮎が始まったので、渓は少し静かになったのかも知れません。皆様、お楽しみください。

ブラウンのポイント
尺マスのポイント

2012年6月11日月曜日

イワナの季節になりました

放流イワナ

事務局長●水谷 博

本日16時~19時の葛温泉における釣果は以下のとおりでした。
 八寸の野生ヤマメ x 1 放流イワナ(15~18㎝) x 6
 野生イワナ(20~25㎝) x 3  天然イワナ(25㎝) x 1

時合いのせいかもしれませんが、赤岩から下ではまったく反応がありませんでした。前回あれ程トロ瀬の流芯から出てくれたヤマメがまったく出ません。虫はうっとうしいぐらい飛んでいるのですがライズもありません。かじか橋の下流からようやく放流イワナが出るようになりました。流芯ではなく瀬尻や大岩周りからです。橋の下はまだ釣り堀状態でライズも盛んです。ほとんどが放流イワナですが、きれいな野生のイワナが1匹だけ混じって出てきました。しかし、かなりスレてしまっていますので、毛鉤を落とす位置とタイミングが合わないとなかなか喰ってくれません。
心配していたことが起こり始めました。砂の堆積です。七倉ダム直下の滝ノ沢からと思われる砂がかじか橋のすぐ上まで堆積し出しました。産卵期までには梅雨や大雨もあるでしょうからきれいに流してくれることを祈るばかりです。
でも、かなり魚信はあります。ポイントがはっきりしているので釣りやすいとも言えます。まず、砂のない浅い開きから野生イワナと放流イワナと2本連続できてくれました。その上の大石の裏からは八寸ヤマメも出ました。さらに釣り上がって大岩の下に振り込むと尺物が出てくれました。しかし喰ってくれません。毛鉤を見に来ただけでまた帰って行ってしまいました。これは次の楽しみにしておきましょう。橋と堰堤の中間付近の大岩と大岩の間からは、久々に天然イワナが掛かりました。これは写真に収めなければと思ったのですが、ポーズを取らせている間にバレてしまいました。
堰堤の前ではおもしろいことがありました。これまで、底が砂地のところではサカナ自身の位置がわからなくなるので、絶対に喰わないと思っていたのですが、そんなこともないようです。砂地の浅いトロ瀬の流芯で1匹だけゆらゆらと泳いでいたので、早速真後ろから振り込みましたが喰いません。前後左右に毛鉤を落としますが反応がありません。やっぱり釣れないかと思いつつ、振り込む場所を真横に変え、左前方45度の角度で50㎝ほど離れたところに振り込むと、何を思ったかいきなり毛鉤に飛びつきました。もちろん、そこの底も砂地です。まだ、イワナの心が読めないテンカラおじさんでした。
なお、イワナの分類は中村水産学博士の「イワナをもっと増やしたい!!」により次のとおりです。

天然魚:それぞれの川に元々生息していた魚
    ※高瀬川のイワナはニッコウイワナでやや黄緑色の魚体で背中に白斑があり、
     側線の下に橙色の斑点があります。遺伝的多様性の保全の観点から、
     天然魚は是非リリースしてください。
野生魚:放流された養殖魚と交配して生まれ、その川で自然繁殖して定着した魚
    ※葛温泉の野生魚は様々ですが、今回釣り上げたのは灰色っぽい魚体に
     パーマークがあり、橙の斑点もありました。
     もちろん、ヒレピンでその端は赤っぽくなっています。
     葛温泉には元々ヤマメはいなかったので、
     ヒレピンヤマメはすべて野生魚ということになります。
放流魚:養殖場で養殖されてから川に放流された魚
    ※葛温泉の放流イワナは濃い紫色から黒っぽい魚体で白斑があります。
     尾ビレの先が黒くて丸まっていますので、すぐにわかります。
     今年は少ないのですが、まれに放流ヤマメも釣れることがあります。

大町ダム直下の高瀬川本流と乳川の上流で尺イワナが釣れたという情報もあります。青葉ヤマメの季節は過ぎてイワナの盛期になりました。これからはシトシト雨の中が好機になるでしょう。ただ、七倉ダムの放水には十分気をつけてください。

野生の八寸ヤマメ

砂に埋まった瀬

2012年5月26日土曜日

葛温泉の青葉ヤマメ、好調の兆し


事務局長・水谷 博

入渓は午後3時半、例によって2号橋からです。いつもこの時間になるのは、夕間詰めを狙うことももちろんですが、名古屋へ高速の通勤割引を利用して帰るにはぎりぎりの時間だからです。
河原に降りて竿を伸ばしているといきなり目の前でヤマメのライズです。トロ瀬の流芯からでした。早速振り込みましたが、これは拾えませんでした。開きの底に魚影が見えます。何度流してもまったく反応しないので、これはウグイと決めつけて釣り上がります。次のポイントは大岩の陰です。盛期には良型のイワナの出るところですが、今日はお休みのようです。さらにその上の白泡の脇からついに青葉ヤマメが来てくれました。18㎝サイズですが、綺麗なヒレピンの天然物です。
大きなポンドのような開きに来ました。ほとんど流れのないところです。底に枯葉の積もったところに落とすと、ポンッとイワナが跳び出ました。水面から垂直に全身をさらけ出したのです。20㎝ほどの元気のいいヤツでした。ここはグッとこらえて一呼吸、二呼吸おいて合わせると、ちゃんと毛鉤に乗ってくれました。この上の大岩ゴロゴロポイントは、私の一番好きなところです。しかし、今日はまったく反応がありませんでした。
仙人岩まで来ました。じっと観察していてもライズはありません。しかし、これまでなかったサカナっ気が何となく感じられます。慎重にトロ瀬の瀬尻に振り込むと、ピシャッと一発で来ました。15㎝サイズの天然ヤマメです。場荒れしなかったので、その向こうに振り込むと連チャンできました。同サイズのヤマメです。対岸の大岩周りからは出なかったので、次に狙うのはトロ瀬の流芯です。沈み石の周りを丹念に攻めてみました。いそうな気がするのですが出ません。次の一振りで出なかったら諦めようと振り込んだときでした。ゴボッというアタリに自然に反応できました。手首にはブルブルと心地よい振動が伝わってきます。半年ぶりの快感です。慎重に取り込むと、25㎝をちょと欠ける天然ヤマメでした。まさに甲高の青葉ヤマメです。その上の開きとトロ瀬でも18㎝サイズを2本追加することができました。
さらにイワナ2本とヤマメ1本を加えて二桁に乗せ、かじか橋まで来ました。橋の上流を見て驚きました。ライズのオンパレードです。「信濃おおまち野外塾」が開催されているので、そのために放流されたのでしょう。まさに群泳です。その中に振り込むと、難なく掛かってくれました。しかし、15㎝サイズのイワナです。去年はヤマメの放流でしたが、今年はチビイワナのようです。瞬く間に5本掛けましたが、いずれも同サイズでした。これはあまりおもしろくありません。ちょうど時刻もいいのでここで納竿とします。いつものところでいつものように出てくれるまでにはなっていませんが、もう十分楽しめます。15㎝サイズでもすぐ大きくなります。C&Rにご理解とご協力を!!



2012年5月17日木曜日

青葉ヤマメの季節です


2012年5月13日 事務局長・水谷 博

大町市内ではまだ八重桜が満開でした。渓で若葉が出始めたところです。解禁以来5回葛温泉に通いましたが、釣果は4月21日の1匹のみ、例年に比べて一月ほど季節が遅れているようです。
入渓は例によって2号橋から午後3時半、竿を出していると目の前のトロ瀬の流芯でヤマメのライズです。久々にライズを見ましたが、これは拾えませんでした。水温は9℃台、今日はいけそうな気がします。しばらく釣り上がっていくと大きな開きになります。水底に落ち葉の積もったところに毛鉤を落とすとゴボッという小さなアタリが来ました。久しぶりのことでうまく合わせられません。2度目も焦りからか早過ぎたようです。
その後は先日イワナに逃げられたポイントを含めてまったくアタリが出ません。仙人岩の淵でも出ませんでした。しかし、ここしかないとしつこくトロ瀬の流芯を攻めると、ついに来てくれました。20㎝に満たない天然ヤマメでしたが、もう今年は釣れないのではないかと思っていたので、ホッとした瞬間でもありました。今日はまだ出るだろうと写真も撮らずにリリースしてやりました。
その後は数匹の魚影を認めたものの、まったくアタリがなく、かじか橋まで来てしまいました。先週は10数匹の放流イワナが群れていましたが、今日は数匹しか見られません。だいぶ抜かれてしまったようです。慎重に第一投を振り込むと、毛鉤を追いました。しかし、喰いません。でも、まったく反応しなかった先週に比べれば、かなり活性は上がっています。もともと、堀江渓愚氏に「何をやってもダメ。」と言わせたポイントです。ここではいつもは薄暗くならないと喰いません。それまではまだ時間があるのでどうしようかと考えたときでした。沈み石の下から勢いよくライズしたイワナがいます。これだ、と反射的に振り込みました。そして、きっちりと毛鉤にのってくれました。引きを楽しむほどのサイズではありませんが、慎重に寄せて取り込みました。ようやく青葉ヤマメの季節になってきたようです。
なお、ここ葛温泉では「第2回信濃大町野外塾」が5月26・27日の両日開催れます。詳しくは横田ロッドの 横田さんのWEBサイト をご参照ください。フライのイベントです。
渓から上がると、顔見知りのルアーマンが3人、これから入渓するぞという雰囲気でいました。高瀬ダムの上、清嵐荘の奥まで行ってきた帰りだそうです。ダムへの流れ込みでは出たそうですが、その上はまだ雪もあってダメだったそうです。お疲れ様としか言いようがありません。
それではと私はまだ日も高いので、鹿島川爺ヶ岳スキー場前に入ることにしました。今シーズン初めてです。水量はよかったのですが、いいポイントが続くガケ際はすべてチャラ瀬になっていました。これでは話になりません。早々に帰路につくことになってしまいました。でも、乞うご期待のシーズインです。


2012年5月4日金曜日

春は名のみの風の冷たさ

北の安曇野渓流会 理事 ● 川北卓史

待ちに待った釣りのシーズン、厳しい寒さも和み、谷にもやっと穏やかな春の日差し。てなわけで、行って来ました。*1週間前のレポートです

蓮華大橋より籠川出合いまでいまだ魚の気配なし。結論からいうと、まだまだ長野の谷は凍りついたままでした。
最初に竿を振ったのは、高瀬川本流。ここは毎年早期に入ることにしています。その年の状況を占うにはもってこいの場所、良い年、悪い年の見極めができる谷です。上手の高瀬ダム、支流の籠川、鹿島川の流れを集めている本流なので、まず、この水系の魚の動きを知る目的で入渓するのです。
長野の自然渓流は魚(ヤマメ)の移動が激しく、早期の内はそのタイミィングを外すと釣りになりません。解禁当初、一番効率よく釣れるのは、もっと下流の犀川本流だと思います。気温が高くなる3月から5月にかけて本流から支流へ、そして谷へと釣り上っていくのが常です。だから、本流の活性を知るのは私の常套手段なのです。
2月〜3月は犀川本流、そして現時点では高瀬本流というわけです。

本流は風が強く、また、水量も多めで空しい釣りになりました。魂の洗濯、ではなく、ただ、ただ、毛鉤の洗濯。良い時は、川の匂いが違います。職漁師の人が好条件の時に口にする、「ネバリのある流れ」というものがどういうものか私は知りませんが、私は匂いで判断しています。たぶん、思い込みでしょうが良い時はなんとなく、船臭いというか、生臭い、というかそんな匂いが、ふん、と鼻をつくのです。
ま、アレルギー性鼻炎の私がいうのですから、まったくあてにはなりませんが。
この日は、そんな匂いもなく、川の流れはなんだか人工的でもあり、高いところから低いところへと流れるのみ。毛鉤も上手から下手へ流れるのみ。私は低いところから高いところへ歩を進めるのみ。何をやっても、何も起こりません。集中して狙い定めて粘っても、立ち位置に注意して毛鉤の流し方を工夫しても、何も起こりません。高い空には暢気にトンビが輪を描くのみ。
河原自体が変化に富んだ渓谷ならまだしも、とうとうと流れる本流でのこういう場面は、本当に空しいものです。体も気持ちも冷え切ります。

途中、鹿島川の出合いから鹿島第一堰堤を執拗にやりました。
本流からの第一堰堤、ヤマメがまずここに溜まるはず、そういう推理です。数年前、ここで良い思いをしたことがあります。その時は、計算どおりヤマメやイワナが溜まっていました。しかも、マヅメ時は入れ食いです。それを体験しているので、必ずここでは細心の注意を払い、堰堤下の流れから溜まりへと毛鉤で探ることにしています。ですが、今日はどうやらここも留守のようでした。
それから、籠川出合いまで釣り上がり、さらには籠川も少しやってみましたが、ここは上の工事の影響で釣りにならず。ついでに籠川大橋から上もやっていこうと、引き返し車で橋まで来るも、川へ下りる林道の雪の上に熊さんの足跡だらけ、なんとなく釣りに集中できません。やはり、釣れませんでした。
そういえば、3月からまとまった雨もなく、雪シロはまだ先、魚が動いていないという印象です。

まだまだ長野の谷には春の息吹は感じられません。まさに、春は名のみの風の、いや、水の冷たさ、ですね。昨年の私自身のメモでは、活性化したのは6月中旬から。今年もそんな遅〜いシーズンになるのか、、、
というわけで、一転し今度は南へ。つまり、下流域へ。

まず、乳川の大町側306号線上を釣り上がります。小さなヤマメの逃げ惑う姿を何度か確認。魚はどうやらいるようです。しかし、水量は少なく、たぶん釣れてもチビヤマメだろうと判断、今度は松川から穂高方面へ。
ちひろ美術館の辺りも気配なし。その下の大門橋から釣り下っていると、対岸の葦の際でバッシャン。これはまあまあの型。色からしてイワナに間違いありません。場所を覚えておいて、下流へ向かうもその後アタリなし。そして、そこへマヅメ時に戻ってきて丁寧にやりましたが、結局あれっきりでした。
毛鉤に反応したというより、毛鉤かハリスが身体に触れて驚いて飛び上がった、という印象でした。

この時期、ダメなときはどう頑張ってもダメなのです。私はただでは転ばない主義なので、釣りがダメなら仕事の取材をします。今日はおかげでスケッチが数枚。山は今が描き時です。山襞に雪のある今は山の中の形が分かるので、スケッチに最適なのです。桜の木も今がスケッチし時ですね。あれは花が咲いたら枝ぶりが隠れてしまうので、まだ咲いていない今なのです。咲いたら宴会するに限りますから。

というわけで、今年初めての本気の釣りは、空振りに終りました。何をやっても釣れない時は本当に空しい。きっと、あのイチローでさえ、今日はこう言うでしょう。
「俺は何をやってもダメな人間だ〜」 と。

*メイン画像の動画は、描いてみたヤマメです。ご笑覧ください。
 ギターは下手くそなので雑音にしか聞こえませんが。


2012年4月21日土曜日

テンカラ初日を迎えたけれど


事務局長 ● 水谷 博

松本までは桜が満開になりましたが、大町ではまだ蕾が硬い状態です。でも、ポカポカ陽気に誘われて葛温泉に入渓しました。午後4時に2号橋から入りましたが、その前にはエサ釣り師とルアーマンが渋い顔をして上がってきていました。しかも、なぜか雨も降っていないのに水位は30㎝以上高く笹濁りです。今日もダメかと半分以上あきらめの境地での入渓でした。案の定、いつも出るポイントからも何の音沙汰もありません。水深があるちょっとした溜まりを丁寧に攻めているつもりですが出ません。
大岩ごろごろのポイントの最後でした。小さな弛みに振り込み、すぐに流木の陰に毛鉤が消えたときでした。ピックアップしようとするとガツンと来ました。一瞬、流木に毛鉤を引っかけたかとも思ったのですが、あの懐かしいブルブルという引きが手元に伝わってきます。イワナとの半年ぶりのご対面です。流木を避けて慎重に引き上げました。サビもなく真っ白な魚体に朱点が綺麗な25㎝サイズでイケメンの天然物です。
これはスマホの待ち受け画面の壁紙になると思い、イワナを水たまりに引き込んでから最近代えたばかりのスマホを取り出しました。起動させてロックをはずし、フォトモードにしようとするのですが、mailやカレンダーばかり出てきてなかなかフォトモードになりません。ようやくそうなって構えたときでした。スーッと足下をイワナが泳いでいきました。画面に夢中になっているいる間にはハリスのテンションがゆるんでしまったようです。残念、壁紙はまたの機会にするしかありませんでした。
気を取り直して釣り上がるのですが、当然こんなことがあれば後はよくありません。高瀬館前まで行きましたが、その後はまったくアタリも魚影もありませんでした。GWの直前には放流があります。水温も上がってきますので、これからは楽しめそうです。