2012年6月30日土曜日

鹿島川、尺物3発


尺イワナのポイント

事務局長・水谷 博

長野市でも今年初の真夏日を記録したこの日、4時を回ると鹿島川の川面を吹く風は冷たく長袖のシャツでちょうどいいくらいです。入渓は鹿島部落の下からです。このあたりの鹿島川はほとんどチャラ瀬ばかりであまり好きではありませんが、会員さんから鹿島でヤマメが釣れたのだがとの連絡を受け、それを確かめ来たわけでもあります。河原が広くて木に毛鉤を掛ける心配がないので、ロングラインも気持ちよく振ることがでる渓相です。
最初のポイントは、流れ込みから大きな開きになっているところです。開きの水深は10~15㎝ほどしかないので、振り込むところは流れ込みの脇しかありません。数回試みましたが何の反応もありません。しかし、サカナがいるとすればこの辺ではここしかないので、しつこく繰り返してみることにしました。優に10回以上振り込んだと思います。毛鉤が流れに吸い込まれてかなり沈んだ時でした。コツンと小さなアタリが手元に届いたので、合わせようとした時にガバッと竿を持って行かれそうになりました。満月にしなる竿を下流へ数歩走ってなんとか立て直し、慎重に浅瀬にランディングを試みました。もう手の届きそうなところまで引き寄せ白い魚体のイワナを確認した時でした。イワナはクルッと大きな魚体を素早く1回ひねってエラを洗いました。その瞬間に毛鉤は空を舞ってしまい痛恨のバラシです。
諦めきれない心を奮い立たせて次のポイントに向かいます。同じような第2、第3のポイントではまったく反応がありませんでした。第4のポイントはこのあたりでは珍しいトロ瀬です。しかも水深があって底石ゴロゴロのここしかないというところでした。でも、出ません。ここでもしつこく繰り返しました。もう諦めようとした時にピシャッと底石の脇からアタリが来ました。これは合わせが早過ぎて空振りです。天空を仰ぎ一度深呼吸をしてから慎重に同じところへ振り込みました。今度はバシッと来ました。ガクッと合わせるとものすごい引きで下流へ10メーターほども走らされました。幸いそこは水深のないチャラ瀬でしたので、何とかランディングさせることができました。でも、サカナを見てがっくり、赤い点々の鮮やかなブラウンでした。ちょうど尺ぐらいのまるまると太ったヤツです。タモに入れたのですが、そのままの写真じゃおもしろくないとポーズを決めようとするのですが、うまくいきません。何とか落ち着いてくれたのでカメラを取り出し構えると、SDカードが入っていないというメッセージです。それを財布から取り出そうとゴソゴソしていた時にラインが緩んで逃げられてしまいました。そんなわけで今回もサカナの写真がありません。
その後、いくつかのポイントを攻めましたが、いずれもまったく反応なし。魚影もライズもありません。仕方なく、本流を諦めて細い分流のポイントを探しながら帰ることにしました。水量も水深もない分流ですが、所々にはサカナがいそうな深みがあります。その一つに振り込んだ時でした。ガバッと水面に顔を出したのは、何とどでかいニジマスです。毛鉤にはかかりましたが、08のハリスでは如何ともできませんでした。その体高から40㎝オーバーだったと思います。プチンッと切れて一巻の終わりでした。ちょうど6時、2時間やってアタリは尺物の3つだけ、魚影は薄いものの大物狙いには楽しめた鹿島川でした。
そのころ、葛温泉でやっていた釣友からは、チビだけどヤマメが入れ食いですよとの連絡を受けました。また、遠く静岡の水窪川へ入った会員の名人からは、2時間でアマゴ40本、うち10本が尺物でその他も27・28㎝ばかりだったという爆釣の知らせが届きました。盛期です。鮎が始まったので、渓は少し静かになったのかも知れません。皆様、お楽しみください。

ブラウンのポイント
尺マスのポイント