2011年11月1日火曜日

人工産卵場で産卵を確認 放流魚も産卵

イワナの卵

●葛温泉レポート 事務局長 水谷 博

この2週間、「ペアリングしていたよ」との連絡はあるものの産卵の確認ができず、イライラの毎日でした。ようやく時間がとれた今日午前、久々に葛温泉に入渓することができました。
まずは小白沢からです。橋の上から1号を覗くと、サカナはいませんがはっきりと1ヶ所窪みがわかります。産卵床に違いありません。はしごを下ろすのももどかしく急いで降りてみると、直径15cmほどで周囲より3cmほど窪んだ場所があります。産卵直後の卵は非常に繊細なので本来なら掘り返すのは避けるべきですが、産卵の瞬間を確認できなかったので、静かに小石をどけてみました。なかなか発見できません。ふとどけた石を見ると5mmほどの白いものが見えます。卵はイクラのようなイメージを抱いていたので発見が遅れました。かすかに橙色がかっており卵に間違いありません。十数粒が確認できましたので、慌ててまた静かに戻しました。下流に造成した2号と3号には窪みがなく、残念ながらここでの産卵はまだないようです。
続いてグレンパル葛の小川に向かいました。ここは泥の堆積が心配されたのですが、それがかえって産卵床を明確に教えてくれました。中間の2号と3号には泥のたいせきしたところとそうではなく不自然に盛り上がったり窪んだところがありました。この1ヶ所も静かに小石をどけてみると2個の卵を発見しました。放流したイワナもちゃんと産卵したようです。
最後に本流ですが、橋の上から見ると人工産卵場には少し泥が堆積しており、魚影はありません。造成直後は何度もこの上で尺物が観察されていましたが、このところさっぱり寄りついていないようです。降りて観ても産卵床は確認できず、今日のところは泥をかき出すだけになりました。しかし、橋の上流では、ヤマメとイワナの尺物がライズを繰り返しながらエサ取りに精を出しています。水温も高そうで、本流での産卵はまだこれからのようです。
葛温泉の今年の紅葉は色鮮やかに燃えることもなく終わろうと枯れ葉が風に舞い、何か物寂しさを感じさせられますが、川の中では新しい生命の息吹が感じられました。

ヤマメの卵
グランパル葛の小川

小白沢1号