事務局長 ● 水谷 博
大雪から始まった今シーズンは御嶽山の噴火で幕を閉じました。長かったようで短かった7ヶ月半、最後の日は思い入れのある葛温泉へ午後4時半に入渓しました。仙人岩には先行者がいましたので、かじか橋の上下だけです。すっかり砂に埋まってしまった渓流は、昭和8年に斎藤茂吉が葛温泉で詠った「川かみに 一夜やどればひたぶるに 岩魚のゐるを まのあたり見き」という面影はまったくありません。
足跡の数から入渓者の多さがわかります。当たり前のポイントではまったく反応がありません。それでも岩陰や小さな溜まりからはチビヤマメの反応があります。高瀬舘前の堰堤までに二桁は掛かったと思います。しかし、狙っているダム差しやマメはまったく来ません。結局20㎝サイズの野生ヤマメと天然イワナが2本ずつでした。
ちょっと寂しい幕切れですが、考えてみれば、こんなに沢山当歳のヤマメがいるということは、春に孵化して半年以上生き抜いてきた訳ですから、こんな厳しい環境でもきっちりと再生産していることを示しています。来年に期待しましょう。そのためには、今年は一度もなかった七倉ダムからの大量放水なければなりません。大町ダムがようやく堆砂対策に取り組むという情報もありますので、観光業者だけでなく釣り人も大きな声を上げていきましょう。見上げればきれいな三日月、何となくさわやかな納竿でもありました。